揺らぎ

ふと快楽を欲しがる夜がある。

みんな、ないふりをしていただけだった。

女の子は。

みんな、

欲なんてないみたいな顔をして生きていた。

恋愛の話はするのに。

性欲の話になると、

急に“ない側”に回る空気があった。

「そんなこと考えない」

みたいな顔をして。

綺麗なままで、

笑っていた。

だから私は。

気持ちよくなりたいとか。

触れられたいとか。

満たされたいとか。

そういう感情を持ってる自分を、

どこかで少し隠していた。

でも。

少し仲良くなって。

少しだけ、

踏み込んだ話をしてみると。

みんな普通に、

欲の話をしていた。

性欲なんてないみたいな顔をしていた子も。

ちゃんとして見えた子も。

静かな子も。

次々と、

隠していた本音をこぼしていく。

なんだ。

みんな、

ないふりをしていただけだった。

そう思った。

少し安心した。

…なのに。

それでもどこかで、

「私は少し欲深すぎるのかもしれない」

って思ってしまう夜がある。

ふと、快楽のことを考えてしまう。

でも。

テスト期間中とか。

昼のワイドショーを、

ぼーっと見ている時とか。

お風呂上がりに、

髪を乾かしている時とか。

ドラマの濡れ場を、

たまたま目にしてしまった時なんて、

特に。

そういう、

なんでもない瞬間に。

ふと、

快楽のことを考えてしまう時があった。

そんな夜くらい。

誰にも遠慮せずに、

ひとりで触れたかった。

気持ちよくなりたいとか。

何も考えたくないとか。

ただ、

快楽に逃げたかったとか。

そういう感情を。

誰にも見られない時間だけ、

少し認めていた気がする。

終わったあと。

少し虚しくなる時もあるのに。

また、

繰り返してしまう夜がある

その揺らぎの中で。

触れながら。

ふと、

「こんなに欲しがってたんだ」

って、

少しだけ苦しくなる夜がある。

でも。

止めたいわけじゃない。

むしろ、

その時間がないと。

うまく眠れない夜もある。

満たされたいのか。

落ち着きたいのか。

ただ、

触れていたいだけなのか。

自分でも、

よくわからない。

だから余計に。

少し揺れる。

触れた夜のあと。

少し落ち着く日もある。

逆に。

「何してるんだろ」

って。

急に虚しくなる日もある。

たぶん私は。

これからもずっと、

この揺らぎの中にいる。

欲しい夜も。

隠したくなる夜も。

どっちもある。

それでもまた。

何事もなかった顔と、

揺れている心で。

朝を迎えていくんだと思う。

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